ハロウィンの前の晩、マーシィはシームを連れて、オルソンさんのかぼちゃ畑にやってきました。あたりは真っ暗で、オルソンさんの家の灯りがチラチラとまたたいているのが、よく見えます。
マーシィは、シームと手をつないで、畑のうねを歩いていきました。ハロウィンにそなえて出荷してしまったのか、かぼちゃは数えるほどしか残っていません。でも、まだまだまるまると太ったやつが、あっちにゴロリ、こっちにゴロリ。マーシィは中でも見事に大きなかぼちゃに手をかけました。すると、
　こらこらそいつは　育ちすぎ
　なかみはからっぽ　がらんどう
という声が後ろから聞こえます。びっくりして、まわりを見まわしましたが、何もありません。今度は、シームがそのとなりのかぼちゃにさわりました。するとまた、
　何をするんだ　よく見ろよ
　こいつはまだまだ半人前
という声がするではありませんか。あわてて後ろを振りむいたふたりは、いつの間にか、たくさんのかぼちゃにとりかこまれていました。どのかぼちゃも、目がオレンジ色に輝き、まっくろな口を大きく開けて、いっせいにゲラゲラ笑いだしました。マーシィは、シームの手をつかむと横っとびに逃げだしました。大きな笑い声が、あとを追うように聞こえてきます。
次の朝、マーシィはもう一度、オルソンさんの畑へ行きました。畑にはいくつかのかぼちゃがおとなしく転がっています。マーシィは、にやにやしているオルソンさんに５ルビー払い、かぼちゃを買って帰りました。
ハロウィンの祭りは、その夜盛大に行われ、マーシィのかぼちゃはコンテストで一等になりました。