蓼科の冬

Tateshina Diary

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わちふぃーるどと同じ空気が流れている蓼科。
池田あきこ先生の蓼科の冬の思い出をご紹介します。
楽しいおはなしがいっぱいです。お楽しみ下さい!!

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カリカリッカリカリッ。夜になると壁の中から音が聞こえる。
ハタネズミが住んでいるのだ。 正月に友人と蓼科に出かけていた夫が帰ってきてこぼした。
「まいったぜ。夜着いてベッドにはいろうとしたらなんかザラザラしたものがあるんだ。 ふとんをめくってみて、俺”うわあっ”って叫んじゃったよ。なんだったと思う?バリーの餌がごっそりあるんだぜ。」
「えっなんで?」
「ネズミだよ。あとタンスの引出しにもいっぱい溜め込んでてかたづけるのが大変だったよ。」
「えーっ、どうやって運んだんだろう?」
「口にくわえてひとつずつ運ぶんだろうな。」
「かわいい!」
「かわいくねえよ!バリーの餌ちゃんとしまっとかなきゃだめだぞ。」
ビー玉ほどの餌を口いっぱいに含んで、ほっぺを膨らませせっせと階段を登っていく働き者のネズミの姿が目に浮かぶ。
うーん、かわいい。 「見たの?」 「見た見た。親指くらいの。ちっちゃいの。」
その話を夏に宇田さんに話すと宇田さんの旦那の滝本さんが「ネズミならいくらでもとれるよ。」と言って次の日さっそくネズミ捕りに入れて持ってきてくれた。 私はそのハタネズミをウィリーと名付け、しばらく一緒に暮した。 帰るとき檻の戸を開けてやると、初めは事態が飲み込めないようでとまどっていたが、そのうちにサササササーッと森に逃げ込んでいった。

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