蓼科の夏

Tateshina Diary

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霧が峰に登る途中から見下ろす諏訪湖の花火。
下記の画像をクリックすると、花火をアニメーションでご覧頂けます。
ダヤンたちと一緒にお楽しみ下さい!!

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諏訪湖の花火
湖のあるところでは花火があがる。そりゃそうだ、湖面に映った花火は倍きれいだものね。
中でも諏訪湖の花火は圧巻だ。もう何回も見ているけれど
「今年はちょっとすごいずら。」と矢崎さん。
花火の内容ではなくて見物席がすごい。
矢崎さんの家から霧が峰に登る道の途中にくっきりと扇形に諏訪湖を見晴らすことのできる場所がある。
そこから少し山を登ったところに矢崎さんは見事な桟敷をこしらえた。
雑草を刈って、土をならし、横木を打ってその上にござが敷いてある。
何日も前から縄をはってその場所を確保しておいたのだ。
ついでに矢崎さんは道沿いのふくらんだ所にも縄をはって駐車スペースまで確保していたのに、よその人が車を停めてしまうのでプンプン怒っていた。
シチュー鍋まで持ち込み、ビールやおにぎり、おつまみとちまちま広げて「まるで相撲の桟敷みたい。」とうきうきする。
暗い木立越しに上諏訪の街が賑々しく見えている。はるか対岸の湖面は岡谷、下諏訪の灯を映している。
花火が始まった。
空中でパァッと美しい色が開き、それからかなり間を置いて・・・・・ドーン!と音が聞こえてくる。
「これがちょっとまぬけだな。」
「遠いからしかたないよ。」
でも浮島を中心にして並んでいる打ち上げ台からどんどん花火が打ちあがってくると、次の花火と音がぴったり間に合うからおかしい。
そのうち雨がパラパラ落ちてきた。
「めんどくせえな。」と言いながらも矢崎さんは用意してあるビニールシートを広げ、立てた杭に結び付けて天幕を張った。
「その靴をしまえ。」とか「ここを持っていろ。」だとかいちいち口やかましいのが困りものだけど、矢崎さんの準備の良さにはほとほと感心する。
「しかし、下界の喧騒をよそにこんな桟敷で花火を見るなんて優雅だねえ。」
遊びに来ていた父もはじめ雨が降りそうだったので花火見物をしぶっていたけれど、すっかり満足そう。
ほんと、花火と音がずれるのだって現実感にとぼしくていっそ幻想的だ。

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