蓼科の夏

Tateshina Diary

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蓼科の夏の虫のお話。
犬のバリーがちょっとかわいそう・・・・・?

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外で花を描いているといろんな虫がやってくる。
虫はそれぞれがまったくすてきな形をしているので私は絵にもぜひ登場させたいのだが、すぐ飛んでいってしまう。
「あ〜あ」
描きかけの美しいちょうちょに去られ、ため息をつく私にはやぶ蚊がまとわりついてくる。
山のやぶ蚊はしつこくて刺されるとぷんぷんに腫れ、
秋風のたつまで痒い。
私はまだ長袖、長ズボンで武装しているからいいが、
気の毒なのはバリーである。
ふと見るとバリーの背中のあたりにわんわんとやぶ蚊が群れている。
しかも目の上にはまるまると血膨れしたのが一匹止まっているではないか。
ゾワワワ、背筋から冷たいものが登ってきて、頭はカッと熱くなった。
「おのれ!」
逆上した私は左手に持っていたスケッチブックで思い切りバリーの頭を叩いた。
ひぃーっ! バリーは痛そうな声をあげる。
そして描きかけのスケッチにはまがまがしい血のしみが・・・・・・
やれやれ。
虫がすてきとはいえないな。
荷物をまとめて、もううちに帰ろう。

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