この頃のタシルの敵は東の国のニンゲン、そして死の森の魔王でした。
ニンゲンたち、死の森の魔王の様子を少しずつ・・・。

東の国のニンゲン
第一次ニンゲン漂着
ニンゲンの船・・・・・セはさっと身を離しました。
東の国から船に乗ったニンゲンがやってくるのを、ずっとずっと恐れていたのです。
「おまえはニンゲンだな」
ドスのきいた声が聞こえ、ふりあおげば、はげ頭にこぶだ らけの大男が腕を組み、難しい顔でにらんでいました。
「ニンゲン?私はメロヴィング島のバードといいます。そう、そしてたしかに人間です。まさかあなた方は人間ではないのですか?」
バードはセをふりむいて驚きの声をあげました。
それには答えずシンは詰問しました。
「なんのためにタシルにきたんだ?」
いまやバードをとりまく大男も美人も猫やかもめまでもが怖い顔でこちらをにらみ、答えを待っているようです。

東の国のニンゲン
第二次ニンゲン漂着
ババリアは得意満面、目を光らせてしゃべりたてました。
「さっき私はとんでもない国と言いましたがね。驚きなさんな、あそこは人間の国じゃないんでさ」
「なに!人間の国でないと」テイラーはじめ乗組員も身をのりだし、目を丸くして聞き入りました。
「あすこじゃね、動物が人間ぶりでおおいばりで暮らしてる。
いわば化け物の国だ。私らの仲間は6人だけど人間としての誇りをなくさなかったのは私だけ。あとはみな動物どもの手下になりさがったんでさ。
そのために私は虐げられた。だけど勇気は失 わなかったね。こうして船をうばい、たったひとりで友軍を呼びに海に乗り出したんだ。
それにしてもこんなに早く出会えるとは思わなかったけどね」
「ふうむ、動物の国と・・・・・想像もつかんが、ライオンや虎か?」
「なに、猫やうさぎでさ。王は猫でその王子ときたら」言いかけたババリアの言葉 は、どっとわきおこった笑い声に包みこまれました。

死の森の魔王
「魔王さま、魔王さま。キマイラに策があります。じきにハロウィーンがやってきます。ハロウィーンこそは魔族の大事な祝祭。私の調べによれば、今年は百年に一度の大ハロウィーン」
うるさそうに聞いていた魔王は耳をそばだてました。
「なに、そうなのか?」魔族の王を自認する魔王ですら初耳です。
「いやいや、ことの真偽はともかくとして、そう言えば重みもでましょう。そこで今回のハロウィーンを死の森でなくキツネ森での開催に。カシガリ山に近いところでの開催、しかも大祭とあらば、セさまとて無視できますまい。
またタシルやフォーンの森のやからも種族の大事な祭礼をとめだてはできないでしょう。
私がキツネ森の魔族に撒いた種もそろそろ芽を吹くころです。
あそこの魔族はもう半ばこちらの味方。ことに魔王さまとセさまの縁組についてはだれもが望んでおります。
このところのセさまは、ワルプルギスにもハロウィーンにも来られないとのころと。
魔族の祭礼にめったに加わらないセさまが参加となれば、みな縁談のためと思いましょう。
また、ニンゲンが現れたのは好機。ニンゲンは欲に弱いと聞いています。
必ずこちらへ引きこめる者も現れましょう。そうなれば一気にタシルに攻めこむもあり、少なくともセさまは手の内に入りましょう。

トップページ月の展覧室アニメーション宝さがしQ&A不思議な国の美術館の地図

(C) Copyright 2006.Wachifield Licensing.Inc.All rights.